⦿ 歴史

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石蔵の願い

私は山奥に二百年ばかり眠っていた石蔵です。 気がつくと近くに人がいなくなっていました。 私は昔のように、人の役に立ちたいです。 過疎・高齢化、限界集落などという声が聞かれる町に出て 若者の職場になってみたいのです。 私の中には、その昔、米や麦、農具などが賑やかに入っていました。 今、子どもたちは、食べものができる畑を見ることも、道具を使うことも少なくなり、 食育を勉強させられていると聞いています。 私でできることなら、その食育とやらの手助けもしてみたいです。 でも、移り住むお金がありません。 思案していたところ、隣の町の、高千穂町岩戸五ケ村の、じいさまたちと、 高千穂の若者たちが中心となり、私の引っ越し資金を一口一万円で集めてくれるといいます。 そのお金は、私が生まれ変わる石蔵や、 民宿・神楽の館の利用券などとして使ってもらいます。

私は、きっと、皆様に喜んでもらい、楽しんでもらえる石蔵になってみせます。 たくさんの仲間の集う場所になってみせます。 暗い世界を明るく照らす平成の天岩戸開きに力をお貸しください。

平成二十一年 二月吉日 二百年の石蔵より、全国のみなさまへ (代筆・五ケ村村おこしグループ 工藤正任)

高千穂のお隣の町・日之影町の草仏地区に、 約150年前に建てられた石蔵がありました。

saito-1 のコピーそこにやってきたのが、ここ岩戸・五ケ村地区のじいちゃんばあちゃん。 彼らは、同じく日之影町から大きな古民家を五ケ村に移築し、 神楽も舞うことのできる民宿「神楽の館」を作り、 天岩戸温泉茶屋では、おいしい地粉うどんやそばとだんごを提供している、 知恵と経験と優しさのつまった、パワフルな玄人集団。

五ケ村地区は、昔から水に苦労して貧しかったため、 蔵の建つ家はなく、蔵を持つことはみんなにとって大きな願いでした。

彼らは、杉の木立に囲まれた美しい蔵に出会い、移築を決意しますが、 移築するに充分な資金を持っていませんでした。

DSC_0044 のコピー のコピーそこで、地元のこびる(昔ながらの労働食・おやつ)を研究する 「こびる研究会」の若者たちと協力し、千人の蔵建設委員会を立ち上げます。

そして、移築資金をまかなうため、多くの人に呼びかけ、 石蔵・神楽の館・天岩戸温泉茶屋で利用できる券を、 一口一万円で販売しました。

これには、村おこしを応援しようと多くの賛同者が集まり、 集まった資金を元手に、 五ケ村集落に無事、石蔵が移築することができました。
こうして主のいなかった石蔵に、千人もの願いが集まり、 平成22年4月1日に、こびるカフェ「千人の蔵」として、 新しい灯がともりました。

その後、そばカフェ「千人の蔵」へと経営が移され、平成26年5月1日、むすびカフェ「千人の蔵」として、新たな石蔵の日々が始まりました。

『岩戸 五ケ村 蔵の唄』 平井邦幸

https://www.youtube.com/watch?v=ozFy6beTZ5w

「岩戸 五ヶ村 蔵の唄」

岩戸 五ヶ村 神楽の館
そこに人が 集まれば 酒飲み 夢を語ろうじゃないか みんなの蔵をつくろうや
貧しい 暮らしの中で 蔵を持つのが 夢だった 隣村で 見つけた 蔵
これを 岩戸へ 移そうや
「お前たちの こびるを売る店を いっちょ 俺らで つくろうじゃないか」
「ようし そんなら俺たちに 任せてくれや」と こびる会

岩戸 五ヶ村 そんな村  誰もが酒飲み 寄ってくる 外で星を眺めながら
白い吐息が 宙に舞う

温泉茶屋にはおなごしが あったかい飯作って 待っている 上の温泉
行ってみりゃ にこにこ顔で待っている

石の蔵には 千人の 夢や 希望がつまっている 人と人が助け合って
みんなの夢をかなえようや
年寄りしの力に 負けちゃおれん いっちょ 俺らも  がんばろうじゃないか」
「ようし そんなら 俺たちが 知恵を貸そうや」と村おこし

岩戸 五ヶ村 そんな村  誰もが酒飲み 寄ってくる 外で星を眺めながら
白い吐息が 宙に舞う